障害のある医療系学生・医療者のこと

障害のある医療系学生や医療者、また障害のある人の医療に関する論文の備忘録です

カナダの医師国家試験において障害のある学生が配慮を受けた割合

Prevalence of test accommodations for the Medical Council of Canada Qualifying Exam Part I, 2013-2021
QK Clarke, J Hanes - Canadian Medical Education Journal, 2023

 

背景

これまでの記事では、医学教育において障害のある人が配慮を得るための骨の折れるプロセスに焦点を当ててきた。 今回私たちは、MCCQE パート I(カナダの医学生における医学知識と臨床判断を問う国家試験) に障害のある学生への配慮に関する傾向を調査した。

 

方法

2013年から2021年の間にMCCQE パートIに関する配慮申請があった申請者数に関するデータを、カナダ医療評議会(Medical Council of Canada)より取得した。同期間の受験者数は、同協議会の年次報告書より取得した(ただしこのデータは、2013、2014、2021年に関しては非公開だった)。これらのデータから、配慮申請者の割合とグラフを作成した。

 

結果

2013 年から2021年の間に、試験に際して配慮を受けた受験者数は 35人から 126人の範囲だった。2015年から2020 年の間に、配慮を受けた受験者数の割合は、 0.89%から2.01% の範囲だった。カナダ医療評議会によると必要書類をすべて提出している申請者で、期間中に試験への配慮提供を拒否された者はいなかった。

 

考察

この期間、MCCQE パートI の試験に際して配慮を受けた学生の数と割合は大幅に増加した。この増加の理由が、障害のある学生の割合の増加によるものなのか、それとも試験に際して配慮を申請することへのスティグマの減少によるものなのかは不明であった。