障害のある医療系学生・医療者のこと

障害のある医療系学生や医療者、また障害のある人の医療に関する論文の備忘録です

上肢形成不全のある歯学生の社会的かつ機能的なインクルージョン:事例検討

Social and functional inclusion of an undergraduate student with unilateral upper limb agenesis: a case study
Paulin RF, Moura SH, Calvob D, et al,Disability and Rehabilitation: Assistive Technology, 12;1-8, 2023

 

背景

何らかの障害がある医療者がインクルージョンされることは、他社に対する共感が高まって患者との関係が円滑になるといった利点がある。本研究は、上肢の形成不全がある歯学部の学生に関する事例を紹介するものである。

 

目的

上肢形成不全の人々の生活の質を改善するためには、教育分野において、インクルージョンに向けた戦略を確立することが急務である。このプロセスには、歯科臨床の実践で使用される器具の操作を可能にする支援機器(asssistive technology: AT)の使用が含まれており、これによって、未来の上肢形成不全がある歯科医が他の学生と同等の教育を受けることが可能になる。

 

ケースの選択

ここで紹介されている事例は、23歳の女性歯学部学生の追跡調査である。彼女のために開発して適応したものは、低温熱可塑性プラスティックを使ったものだった。開発プロセスに参加した専門家チームは、3人の作業療法士と、3人の歯学教授で構成されていた。このプロセスには、いくつかの段階が含まれており最後は統合だったが、そこで(機器を用いた)トレーニングセッションが行われた。

 

成果

一連のプロセスでは、定量的なアンケートと定性的なインタビューという2つの方法を用いて評価を行った。介入後(機器の使用開始後)は、彼女はほとんどの機器を用いた状態で徐々に専門的な技能(パフォーマンス)を向上させており、機器の使用は、彼女の機能訓練を促進していた。

 

考察

ほとんどの機器によって、彼女は、トレーニングの時間がほとんどなかったとしても、各タスクに固有の精度(求められる要件)を満足する活動を行うことができていた。

 

結論

この事例から、提案された技術が適用できる可能性は高いと思われた。