障害のある医療系学生・医療者のこと

障害のある医療系学生や医療者、また障害のある人の医療に関する論文の備忘録です

米国医学部教育における障害学生割合と臨床での配慮提供

National Prevalence of Disability and Clinical Accommodations in Medical Education
Meeks LM, Case B, Taylor N,Journal of Medical Education and Curricular Developmnent,2020. https://doi.org/10.1177/238212052096524

 

背景
本研究の目的は、医学の学部教育(UME)における全国的な障害学生の割合を評価し、MD課程とDO課程における障害区分や配慮の実践の違いを検討することである。

 

方法
2020年5月20日から6月30日に、対象となるDO課程の医学部の機関代表者の75%がウェブ調査に回答した。本調査では、障害のあるDO課程の学生の割合、障害区分、および配慮の割合を評価した。結果の要約には記述統計を用いた。2019年のMD課程対象の調査データを用いて、MDとDOのプログラム間の比較を行い、医学部教育における全体的な障害学生割合と配慮の実践について両者の差を評価した。

 

結果
DO課程では、全登録者の4.27%に障害があった。注意欠陥・多動性障害(ADHD)、精神障害、慢性疾患が最も多く報告された。DO課程では、MD課程よりもADHDの割合が高かった。MD課程とDO課程全体の障害学生の割合は、4.52%であった。MD課程では、DO課程に比較して障害のある学生数が多く、精神障害のある人の割合が高いと報告された。障害を公表しているDO課程の学生の100%が何らかの配慮を受けていた。一般的な臨床上の配慮は、MD課程のほうがDO課程よりも頻繁に提供されていた。

 

考察
本研究は、米国の医学生における障害と配慮に関する初の包括的な割合を示すものである。本調査におけるデータはDO課程のベンチマークとなり、医学教育におけるカリキュラム開発、指導計画、障害学生へのサポート、資源配分に示唆を与えるものである。